白か黒か

音もなく茎は折れた。さっきまでそこにあった生き物の手ごたえは消えていた。
あーあ、と口にして、そこでようやく花を折ってしまったことに気づく。折ってしまった と思わなければ、それは折れてはいないのだ。あーあ、と言ったから、折れた。


「つまらん」


指の先が熱い。花の熱がうつったかと思ってすぐやめた。


熱がうつるなんていうのは嘘だ。体のなかの温度があがっただけで、誰かしらの熱がうつ るなんてばかげた事はありえない。どんなにさわったところで、体温はうつらないし 人に体温は残せない。だから今だって、俺がひとりで興奮しているだけだ。あの時だって、 きっと。


男の首は、今どんな色をしているのか考えながら、レッドはぼりぼりと頭をかく。しだいに苛々しく、力をこめる。

さて男の名はなんといったか。




















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