ふえのね



子供の頃に祭で聞いた、ぴいひゃらりという囃子の曲が頭から抜けない。
それは昔からなにか怖ろしいことの前触れのように感じていて、窮地にたつと不思議とこの音がどこかで流れた。


私は、と口にして、孔明はくんと息を飲んだ。きっとろくでもないことが起こると樊瑞は思い、意識して孔明に背を向けた。


「いつ読み書きができるようになったかが思い出せません。一体いつどうなって人から諸
葛亮孔明と呼ばれるようになったのかも思い出せません」


いま笛の音がしました。そうしたらなんだか色々と思い出しました。


「思い出せないこと思い出したところで、どうでもないですけれど」


言いたいことだけを一方的に話して孔明は笑った。顔は見ていたわけではないが、それ以外の表情を想像することができなかった。どうして今笑う。策士でもなんでもないただの弱い笑みをどうして今浮かべる。
策士でないこの男を、疑うことすら樊瑞にはできなかった。
















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