アイドル伝説諸葛亮孔明



サニーザマジシャンがうらやましいのです、と彼がまと外れなわがままを言い出したのは今さっきのことで、それを思い出すたび樊瑞は表情を暗くする。


「なぜってあなた、彼女につきっきりではないですか」
「私だってあなたの可愛らしい色のマントのなかに隠れたりあなたの半歩うしろで内股でモジモジしたりしてみたいものです」


恥ずかしいから具体的に言わないでくれと思う。
恥をかかせたいだけならば、少しはそういう演出をしてほしいとも思う。それが一切ない。だからといって、それが男の本気であるとは、到底思えない。


「ああ、あと同じ台座にも立ちたいですねえ」


作られた台詞のようなそれを、表情ひとつ変えずに謡う策士の、その口元は羽扇できれいに覆われてしまっていて、向こう側ではどんな笑みが作られていたのかと、樊瑞はふと考える。


男の目には表情がない。それをただ、怖ろしいと思う。


それでもその姿をキレイに思い出すことが出来るのは、彼の言ったことがあいかわらず滅茶苦茶で、まったく予想もできないものだからだ。


「わからないものですかね」


彼の言動にひとつ誓えるとするならば、それはまったく不可解で、それでいていつだって、最後にはまんまとはめられる事だけだ。




「好きなのですよ」












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